ニチガス、日本国内に85万台あるガスメーターをSORACOMとUnaBizに接続

UnaBizとSORACOMが主導したスマート変革により、ネットワークの分解点検修理を行わなくても、データをリアルタイムに収集できるようになります。

Nicigas, Soracom, and UnaBiz team in front of NCU Space Hotaru gas meter reader
左から:岩村健司氏(ニチガス、エネルギー事業部上席課長)、向井正弘氏(ニチガス常務取締役)、森下淳一(ニチガス常務執行役員)、玉川憲氏(SORACOM創設者兼代表取締役社長)、和田眞治氏(ニチガス代表取締役社長)、ヘンリー・ボン(Henri Bong、UnaBiz共同創設者兼CEO)、フィリップ・チウ(Philippe Chiu、UnaBiz共同創設者兼CTO)、松田祐毅氏(ニチガスCIO)、滑川直人氏(SORACOMセールスマネージャー)、長島隆一氏(ニチガスチーフデザイナー)
Nicigas, unabiz, soracom, sigfox and kyocera logo

2019年11月20日 – UnaBizとSORACOMが開発したガス検針器の導入により、2020年度末までに、国内にある日本瓦斯株式会社(ニチガス)のガスメーター85万台がスマートに大変身します。このプロジェクトは、エネルギーの分野においてテクノロジーを活用したソリューションとして最も大規模な導入実績の1つです。

「スマート蛍(ホタル)」はニチガス独自のコンセプトであり、既存のガスメーターに後付けしやすい「スマートな」機能を実現する検針器です。このネットワーク制御装置(NCU)は、ガス消費量のデータを収集し、日本全体を網羅するSigfoxの0G無線ネットワークを介してニチガスのIoTデータプラットフォーム「ニチガスストリーム」に送信され、更にガス弁のリモート制御も可能にします。NCUはエネルギー効率が良く、内蔵バッテリーだけで10年以上使用できると想定されています。

低コストかつリアルタイムのガス検針を実現

「スペース蛍(ホタル)」は「コスト効率の良い方法でデータを収集してリアルタイムの状況把握を可能にする」というガス業界がよく直面する重要課題に対処することができます。

システムを導入してからは、これまで検針担当者が月に1回手動で読み取っていたメーターのデータは、NCUが1時間ごとに収集してニチガスストリームに毎日送信されるようになりました。収集したデータは世帯のガス残量を可視化および予測に使用し、ガスボンベを適宜交換できるようになり、同社のお客様へのサービスの品質が向上しました。

さらに、NCUはメーター関連のインシデントについても報告します。地震発生時には、ガス弁が自動で閉鎖するようにプログラムされており、アセットに利便性とリアルタイムのセキュリティをもたらします。

NCU Space Hotaru solution diagram

俊敏なパートナーシップによるソリューション

「スペース蛍(ホタル)」は、ニチガス、SORACOM、UnaBiz、Sigfox、京セラコミュニケーションシステムの強力な提携関係によって実現しました。このソリューションは、京セラ株式会社の子会社である京セラコミュニケーションシステムが運用する0Gネットワーク上で動作します。

ニチガスの広報担当者は、新製品に対する意気込みを共有してくれました。「SORACOMとUnaBizが持つソフトウェアとハードウェアの開発に関する専門知識を組み合わせることで、ニチガスの構想である大量生産を迅速に行うことができました。耐久性とコスト効率に優れたこのスマートガスメーターを開発する上で重要な成功要因となったのは、このチームが持つ能力と情熱であり、市場投入までの早さは今までで前例のないスピードでした。」

「ガス消費量のデータがより正確になることで、需要と供給をより適切に分析でき、それによって物流経路と流通経路の実用的状況を把握し、資源の効率を最大化することができます。また、既存のお客様はもちろんのこと、検討中のお客様に対しても最適なエネルギー使用計画を提案できるようになります。」と同担当者は付け加えました。

このNCUプロジェクトによって、変化する日本の消費市場だけでなく、世界のエネルギー分野でも技術において業界を牽引できるとニチガスは見込んでいます。ニチガスは、「スペース蛍(ホタル)」と、ニチガスストリームがサポートする統合システムを他のガス会社やエネルギー会社に提供する予定です。

Sigfoxの共同創設者兼CEOのルドビク・ル・モーン(Ludovic Le Moan)氏は次のように述べています。「今回の提携関係とプロジェクトで、システムの大量導入へとつながったことは本当にエキサイティングなことでした。市場の成熟度が高まっており、Sigfoxネットワークの接続目標としている1,500万台を超えつつあります。このプロジェクトは、アセットを接続してより高い収益と利益率を獲得するという、業界が持つ驚くべき可能性を示してくれました。」

NCU Space Hotaru on a gas meter

IoTの可能性を活用する

ニチガスのプロジェクトでUnaBizが担当したのはハードウェアソリューションの設計と製造でしたが、IoTソリューションがいかに効率的で手頃であるかを提案し、物流や施設管理など、公益事業部門を越えたプロセスのデジタル化を検討しました。

「UnaBizは、企業や業界がプロセスを最適化し、持続可能な成長を遂げるための支援として、高品質でコストのかからない、かつ持続可能なソリューションを設計したいと考えています。「接続する」とは、必ずしもアセットのすべてに整備が必要というわけではありません。このプロセスでは、企業、消費者、および環境においての、すべてが目的を達成することが重要なのです。」と、UnaBiz共同創設者兼CEOのヘンリー・ボン(Henri Bong)は説明しています。

SORACOM創設者兼代表取締役社長の玉川憲氏も同様の意見を持っています。同社は農業、エネルギー、建設から家電、製造、不動産に至るまでの部門にある機器を接続するプラットフォームを提供しています。

「ニチガスは、スマートIoT接続プラットフォームの大規模導入がもたらす利点を体現する最高の事例です。IoT技術とクラウド機能を組み合わせると、企業は世界中の至る所から機器をスピーディーに安価で、かつ安全に接続できます。それと同時に、効率、持続可能性、そして顧客満足度も向上させることができます。」と、彼は述べています。

ニチガスについて
日本瓦斯株式会社(ニチガス)は日本にある総合エネルギー会社で、LP(液化石油)ガス、都市ガス、および電力を関東地方の154万9,000人のお客様に供給しています(2019年9月30日現在)。日本では、電力と都市ガスの小売市場が2016年と2017年に全面的に自由化となり、それぞれの市場の事業者は、競合他社との差別化を図るため、お客様に新たな付加価値となる、高品質なサービスを提供する必要があります。成功への鍵は、エネルギーとコストの効率が良い通信技術によってサポートされるICTとデジタル変革(DX)であると同社は考えています。また、ICTとDXは単にコストを合理化する手段であるだけではなく、企業の売上高と企業価値を持続的に向上させるものであるとも考えています。ニチガスの壮大な挑戦は市場で高く評価されており、経済産業省(METI)と東京証券取引所(TSE)が共同で選定する「攻めのIT経営銘柄」に4年連続(2016年~2019年)選ばれています。

SORACOMについて
SORACOMは、スマートIoT接続を世界中に提供している企業で、接続機器のニーズに合わせて特別にクラウド向けに設計された無線サービスを提供しています。2015年の設立で、現在は、農業、エネルギー、建設、輸送から、家電、製造、不動産、医療に至るまでの業界で、世界中の15,000を超えるお客様にサービスを提供しています。同社は市場投入までの時間を短縮し、機器をクラウドに接続しやすくすることで、グローバル企業のお客様から急成長する新興企業のお客様に至るまでの信頼を獲得しています。詳細については、www.soracom.ioをご覧ください。

UnaBizについて
UnaBizは、アジアにおいて大規模なモノのインターネット(IoT)を実現する企業です。同社は、顧客志向を追求して設計した、エネルギー効率と適応性に優れ、従来よりも安価で導入しやすいソリューションの提供を専門としています。私たちのビジョンは、シンプルなテクノロジーを活用して密接に繋がった世界を作ることです。UnaBizは、人々と技術を繋いで大規模な効果を創出し、地球上に存在するすべての人と組織がよりスマートでシンプルな暮らしを手に入れるための支援を行いたいと考えています。UnaBizの使命は、敏捷性と創意工夫でお客様とパートナーに一歩先を行く安心を与え続けることです。現在は、IoTのエコシステムから企業の成長を促進する上で必要になる幅広いスキルとリソースを活用しながら、製品設計から製造能力に至るまでの多様な専門知識を提供しています。2018年、UnaBizはシリーズAの資金調達で1,000万米国ドル以上を調達し、その後、IoT製品の設計とネットワーク接続ソリューションのプロバイダーに関して、ISO 9001:2015の認証を取得しています。UnaBizは現在28か国で販売しており、施設管理、資産管理、資産追跡、スマートパーキングなどの重要な分野に注力しています。

Sigfoxについて
Sigfoxは、0Gネットワークのイニシエーター(創始者)であり、世界をリードするIoT(モノのインターネット)サービス提供会社です。世界規模で展開しているネットワークにより、可能な限り少ないエネルギーを消費で、何十億にものぼる機器がインターネットに接続できるようになります。Sigfoxが誇る、機器からクラウドへの通信を実現する独自のアプローチでは、世界規模でIoTを導入する際に起こる3つの大きな障壁(コスト、エネルギー消費、世界規模の拡張性)に対処します。現在、65ヶ国でネットワークが利用できます。同社はISO 9001認証取得企業で、パートナーとIoTの主要事業者で構成される大きなエコシステムに取り囲まれており、アセット追跡やサプライチェーンなどの主要な分野で、企業の事業モデルがデジタル化を進めたサービスへと移行できる支援を行っています。同社は2010年、ルドビク・ル・モーン(Ludovic Le Moan)氏とクリストフ・フルテット(Christophe Fourtet)氏によって設立された、フランスに本社を置区企業で、マドリード、ミュンヘン、ボストン、ダラス、サンホセ、ドバイ、シンガポール、サンパウロ、東京に事務所を構えています。

京セラコミュニケーションシステムについて
京セラコミュニケーションシステム株式会社(KCCS)は、情報を人に、人を企業に、企業を社会に繋ぐシステムインテグレーション企業です。KCCSグループは、情報プラットフォーム、通信インフラストラクチャ、経済とエコロジーの調和がとれたインフラストラクチャ、企業向け管理プラットフォームといった、4つの主要分野を対象にしています。